電気を持ったものは電場から、また磁気を帯びたものは磁場からクーロン力を受けることはよく知られていますし、電流が電場や磁場からローレンツ力を受けることもまたよく知られた事実です。
一般に電磁力を考える場合、マックスウェルの応力を使うことがありますがこれによる電磁力の計算が、クーロン力やローレンツ力とどのような関係にあるかはあまり明確ではありません。
ここでは、電磁場が物体とどのような力のやりとりを行うかを原点に返って考え、電磁場のエネルギー、電磁場の運動量という概念が通常の物体と同じように定義できると同時に、エネルギー保存の法則と運動量保存の法則が物体ばかりでなく電磁場も含めた全体の系について成り立つことを示します。
まず物質中のマックスウェルの方程式に戻って考えることにします。
電場および磁束密度をE、B、磁場の強さおよび電束密度をH、D、また、電流密度と電荷密度をJ、ρ、とすればこの方程式は、次のように表されます。
・・・ (1)
・・・ (2)
・・・ (3)
・・・ (4)
EおよびD、BおよびHの間には次の関係があります。
・・・ (5)
・・・ (6)
ここに、ε0およびμ0はそれぞれ真空の誘電率と真空の透磁率であり、P、Mはそれぞれ分極ベクトルと磁化ベクトルです。
この関係を使ってこれから電磁力や電磁場のエネルギーについて考えていきます。