誘導加熱解析では、磁界解析で渦電流損による被加熱物の発熱分布を求めるだけで終わることは少なく、被加熱物の温度分布の時間的な変化まで求めます。そのためには、磁界と熱伝導の連成解析が必要になります。連成解析には、弱連成解析と強連成解析があります。
被加熱物が数100℃以上になり、1000℃を越える場合には、被加熱物の透磁率、電気伝導率、熱伝導率、比熱などの物性が変化します。しかし、磁界解析では温度変化の基となる発熱密度、熱伝導解析では温度分布しか計算できず、物性の温度依存性を考慮するためには、磁界と熱伝導の連成解析が必要になります。
連成解析には、弱連成解析と強連成解析があります。誘導加熱連成解析の場合、次のように定義することができます。
- 弱連成解析:最初の磁界解析で得られた発熱密度分布データのみを使用して最後の時刻ステップまで熱伝導解析を行ないます。
- 強連成解析:熱伝導解析の各時刻ステップで求めた温度分布と比透磁率または電気伝導率の温度依存性を照合し、物性を更新して再度磁界解析を行います。このようにして動磁界解析と熱伝導解析を繰り返し行ないます。
弱連成解析は特に手間なく簡単にできますが、強連成解析の場合、時刻ステップの間隔をどのように取るかなど経験と手間が必要になります。
したがって、強連成解析を手間なく簡単に行うためには、この工程を自動化したソフトウェアが必要になります。
強連成用誘導加熱解析ソフトウェア F-MAG-IH は、熱伝導解析の各時刻ステップで求めた温度分布と比透磁率または電気伝導率の温度依存性を自動的に照合し、必要な場合のみ物性を自動的に更新して再度誘導加熱解析を継続します。
このようにして誘導加熱解析と熱伝導解析を自動的に繰り返し行ないます。
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