これまで、PHOTO-Seriesでは有限要素法の解析で得られた磁化を、外場として使用できる機能を紹介してきました。
前回までは、コイルを外場として<外場機能について(2)>では磁性体の解析を、<外場機能について(3)>では磁石の遠方磁場の解析を紹介いたしました。
この2つのケースでは、外場はコイルと磁石をそれぞれ単独で使用していますが、外場に磁性体や導体を含めることもできます。
下図のようなモデルで遠方磁場を求めてみます。
<図1> 解析モデル(空気の要素は非表示)
前回までと同様にして、このモデルを外場として遠方磁場を求めてみます。
コイルの電流密度は、入力条件として設定できますが、磁性体の磁化はコイルが作る磁場によって決まりますので、入力条件として予め設定することはできません。
また、磁性体が電気伝導率を持つ場合でも、磁化と同様、渦電流は前もって入力条件として設定することはできません。したがって、今回も、磁性体の渦電流は無視しています。
図1のような解析モデルで説明しますと、まず有限要素法解析で磁化を求めます。
さらに必要に応じて渦電流求めておきます。
有限要素法の解析結果として、磁束密度分布と磁化分布を以下に示します。
<図2> 解析結果 磁束密度 (空気の要素は非表示)
<図3> 解析結果 磁化 (空気の要素は非表示)
次に図3の磁化とコイルの電流を外場として、遠方磁場を求めます。
測定点と外場を重ねて読込みますと図4のようになります。
<図4> 測定ポイント、コイル、磁性体
磁化を求めるときに必要であった空気のメッシュを表示すると図5のようになります。
<図5> 測定ポイント、コイル、磁性体、空気
外場機能を使用せずに、遠方磁場を求める場合はより広い空気領域が必要であることがわかります。
遠方磁場の解析結果を図6に示します。
<図6> 測定ポイントにおける磁束密度
今回は、磁石、コイルだけでなく、計算結果として求まる磁性体の磁化や渦電流を外場として使用できる機能を紹介しました。